【スポーツ・デジタルブックレットシリーズ】刊行開始! 電子書籍に決めた理由(わけ)

2022年から大学等で体育・スポーツを学ぶ人に学生に向けて「みらいスポーツライブラリー」を刊行しはじめました。このテキストシリーズも今年で全10タイトルをラインナップすることができました。
それぞれ趣向を凝らし、QRコードを読み込んで動画解説が視聴できたり、各種資料のHPへリンクしたりと、紙の書籍の特徴である読みやすいレイアウトとインターネットを融合させた新しいタイプのテキストをめざしました。昨年からは、ほぼ全てのタイトルでNTTEDX社のUniTextというサービスを利用して電子書籍でのテキスト利用も可能となっています。
テキストというのは、大学等の講義に最適化され、おおよそ半期2単位、もしくは前後期4単位で学ぶよう構成されています。ある意味網羅的で、学術的なエビデンスに基づく内容となっています。ただ、それだけでは初学者が学ぶには多少面白みに欠けるので、豆知識や本文では伝えられないようなトピックスをコラムとして間に挟んで工夫はしています。
とは言え、タイトルによってはB5判で200ページを大幅に超えるボリュームで価格も手頃な価格は言えません(専門書は、読者対象が限られているので、どうしても小ロットで価格が高めにならざるを得ません)。これでは、学生が授業や事前・事後学習で利用する以外の読者が気軽に手に取って学ぶにはハードルが高い。
そこで、もっと気軽に手に取って、知りたい・学びたいテーマやトピックスを手軽に読める本も必要ではないかと考えました。

最近、街の本屋さんが姿を消したというニュースを耳にしたことがないでしょうか? 実際に、日本出版インフラセンターによると、2024年3月時点の全国の書店数は1万918店で、2003年のピーク時のには2万店を超えていましたので約半分にまで減少しました。さらにこれは店舗を持たない業販部門や営業所なども含まれている数字で、現状では1万店舗を下回っているとも言われています。
また、出版文化産業振興財団(JPIC)の調査によれば、2024年3月時点で、全国の「書店ゼロ」の市町村は27.7%という結果になっています。
活字離れと呼ばれて久しいですが、出版や書店を取り巻く環境はかなり厳しい時代を迎えています。また、物流問題も深刻です。これまで全国の書店をつなぐ物流網も人手不足、働き方改革、そして人件費や燃料高のコスト高で、これまで通りの配送網の維持も難しくなってきたという事情もあります。これは大手出版社の書籍や賞などを受賞したベストセラー以外は、なかなか物流網に乗りません。基本的には注文販売となり「いつでも、どこでも手に入る」状況とはいかなくなってきました。
当社のように、地方の小さな専門書中心の出版社では、これまで通りの書籍を刊行しても、「どこでも、いつでも、手軽な値段で手に入る」とはなかなかいきません。悲しいですが・・・
そこでたどり着いたのが電子書籍です。今のところ電子書籍のプラットフォームはAmazonのKindleサービスが1強で他に選択肢はほぼありませんので、Kindleの専売としました(使っている人も多いので、一種のインフラだと割切ってます)。
これまでも、当社では何冊かKindleで電子書籍を販売しています。しかし、紙の本が品切れになって増刷が難しいなどの書籍に限って販売してきました。今回は前述の通り電子書籍のみで販売します。電子書籍のよいところは、時と場所を選ばす購入できることと、比較的低コストで制作できるので、価格もお手頃に設定できることです。今回の企画はその条件にピッタリでした。

どんなテーマで、誰に執筆していただこうか? 考えた末に話を持っていったのが、このコラムで以前に執筆いただいた、東洋大学の谷塚哲先生と関西学院大学の溝畑潤先生でした(ぜひバックナンバーをご参照ください)。
「このコラムの延長線上のような書き方で、ひとつのトピックスについてA5判換算(1ページおおよそ900字程度)で80ページから100ページぐらいのボリュームで、読者対象は学生向けだけでなく、一般のスポーツ愛好家や指導者、スポーツの周辺領域に関わる人で、スポーツの研究者がどのようなテーマで研究しているのか、また、それらが一般の人にどのように役立つのか、さらに研究そのものの意味や成果をわかりやすく解説できるようなシリーズにしたい」と話したところ、快く引き受けてくれました。
テーマについても、いろいろと意見交換するなかで、谷塚先生は、ご専門のスポーツビジネスの現状と課題について、溝畑先生には、発育発達の科学的なエビデンスに基づいた子どものスポーツ指導について書いてくださることになりました。
そして、出来上がったのが次の2冊です。

スポーツビジネス入門
スポーツビジネスの現在と未来

谷塚 哲 著
電子書籍/リフロー型
発売日 2024/07/30
価格 990円(本体900円+税)
ISBN 9784860156299

ジュニア・ユース世代のトレーニング指導法入門
子どもの個性を伸ばし、ケガを予防する指導法

著者 溝畑 潤
電子書籍/リフロー型
発売日 2024/07/30
価格 990円(本体900円+税)
ISBN9784860156305

初めての電子書籍の編集でしたので、これまでの通常のやり方とは違う部分も多々あり、トライ・アンド・エラーの連続でしたが(特に※リフロー型のデータ作成については難儀しました・・・)、無事問題も解決し、発刊までたどり着くことができました。

今後は、スポーツに関する学術的な領域だけでなく、選手個人の物語やエピソード、スポーツに関わる職業の話など、話題を広げていければと思っています。もちろん、企画のご提案などもお待ちしております。

※リフロー型電子書籍とは
リフロー型電子書籍とは、表示するデバイスの画面サイズや文字サイズの変更などに合わせて、テキストやレイアウトが流動的に表示される方法で制作された電子書籍である。フォントを拡大したり縮小すると、1行の文字数が自動的に変更されて再表示されるため、紙の書籍のようなページの概念を持たない(ただしページ機能を持たせることは仕組みとして可能)。小説やビジネス書など、主にテキスト系のコンテンツはリフロー型で制作されることが多い。

出典:日本電子出版協会HP
https://www.jepa.or.jp/ebookpedia/201508_2553/