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保育内容
書名 | 描画過程における子ども間の模倣と創造 |
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サブタイトル | 模倣に潜む美的経験と創造への展開 |
シリーズ名 | |
編著者 | 奥 美佐子 著 |
判型 | A5判/258頁 |
発行日 | 2022/09/20 |
定価 | 4,400円(本体4,000円+税) |
ISBN | 9784860155872 |
概要 | 子どもの頃に造形的な活動や図工の時間に周囲を見回して、かっこいい表現やきれいな色、珍しいパーツを友達やクラスメートの表現に見出した時、そっと真似をしてみたり、その色の出し方を教えてもらったり、表現に困った時にふと周囲に目を見張り適当な情報を探したりして、自分の表現に取り込んだ記憶が残ってないだろうか。 一方で、そのような行為に「真似をしてはいけません」と先生から注意を受けたことはないだろうか。これは、芸術表現においては、自分自身の表現重視、オリジナリティーこそ大切という創造性が善であり、模倣は悪と創造の対義語として位置づけられ、マイナスイメージを与えられてきた歴史的経緯がある。 これはこれで一理あるとも思えるのだが、善か悪かではなく、そもそも、幼児期から児童期にかけてよく出現する、表現の模倣とはどのようなものであるのだろうか。保育・教育者の研修会や研究会においてこの話題がしばしば語られてきた。客観的に見ても、幼児期から児童期にかけてこの傾向が強く出ることも否めないことである。 筆者は模倣から創造へ転換した新たな表現へのクリエイティブな作用があると仮定し、その作用を模倣する行為の中の美的経験の有無から実証してみようとした。 本書は模倣と創造の問題に黒白をつけることが目的ではなく、模倣と創造の親和性というか、この両者の現実的な存在や関係性を広く見つめ確認したうえで、模倣が創造への効果的な役割を果たすこと、特に幼児教育において、子どもが大人の想像をはるかに超える模倣の効果的な活用方法を自然のうち、かつ自主的に見つけ駆使していることを伝えるべく、1995年から2007年にわたり筆者とともに子どもたちの描画過程にかかわった保育者・教育者の実践から収集した貴重なデータを基にした研究をまとめたものである。 この時期の子ども間の模倣の意味を再考し、子どもたちの創造的な未来への小さな扉を開きたいと願い執筆した著者が長年取り組んだ研究の集大成でもある。 |
備考 |
目次
- 序 章 描画過程における子ども間の模倣はよくないことか
- 第Ⅰ章 子ども間の模倣を捉え直す
- 第1節 研究の目的― 4 つの論点
- 第2節 4 つの論点につながる研究の構造
- 第Ⅱ章 模倣とは何か
- 第1節 本章の概要―美術教育及び描画の発達的な見地から
- 第2節 美術教育における模倣を巡る諸理論
- 第3節 描画の発達段階と模倣
- 第4節 子どもの創造性
- 第5節 子どもの絵は芸術か
- 第6節 描画における模倣をどのように捉えるか
- 第Ⅲ章 保育者・教育者を対象とした模倣に関する調査
- 第1節 本章の概要―基礎資料の作成
- 第2節 描画過程における子ども間の模倣に対する意識調査
- 第3節 子ども間の模倣への対処法
- 第4節 模倣の現状と課題
- 第Ⅳ章 描画過程における子ども間の模倣の効果
- 第1節 本章の概要―実証研究に向けて
- 第2節 模倣事例の収集と模倣の類型化
- 第3節 模倣の効果
- 第Ⅴ章 描画過程における子ども間の模倣の特質
- 第1節 本章の概要―模倣の情報収集と表現への反映方法の特質を探る
- 第2節 模倣に作用する要件
- 第3節 子どもが摂取する情報の特質
- 第4節 模倣の精度
- 第Ⅵ章 0 ~ 3 歳児の実践と自由画における子ども間の模倣の研究
- 第1節 本章の概要
- 第2節 0 ~ 2 歳児及び3 歳児の描画過程における子ども間の模倣
- 第3節 自由画における模倣
- 第4節 描画過程における子ども間の模倣の効果―総括
- 第Ⅶ章 描画過程における子ども間の模倣と美的経験―ミメーシスの実験との対照
- 第1節 本章の概要―美的経験の存在を探る
- 第2節 模倣における「変形」と美的経験
- 第3節 「変形」は創造性の表れ
- 第Ⅷ章 模倣から創造へ
- 第1節 描画過程における子ども間の模倣の特質と効果
- 第2節 模倣から創造へ