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介護・看護
書名 | 危機理論に基づく認知症者とのかかわりに関する研究 |
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サブタイトル | フェルト・センスに焦点をあてた共感的理解 |
シリーズ名 | |
編著者 | 窪内 敏子 |
判型 | A5判/160頁 |
発行日 | 2021/12/10 |
定価 | 2,750円(本体2,500円+税) |
ISBN | 9784860155681 |
概要 | 本書は、認知症者のケアについて、個々の支援者が勘と経験でしか対応できていない現状から脱却し、支援者のだれもが適切な方法で認知症者への対応が実践でき、少しでも認知症者の危機が早期に回避できるための一助になると考え取り組んだ研究をまとめたものである。 人は、今まで経験したことがない新しいできごとに直面したとき、不安や緊張が高まり、混乱状態に陥る。認知症者の混乱は、認知症でなければなんでもなくのりこえられる日常生活の些細なできごとであっても、脳障害によってのりこえる方法を見失ってしまうことで発生し、不安で緊張が高まり、どうしていいかわからない思いを抱いてしまうことによって起こる。この認知症者の混乱状態を本書では「危機」と捉えた。ソーシャルワークの危機理論によると、危機に陥っている人に適切に対応することで、危機を回避することができ、反対に適切な対応ができない場合には危機は継続し混乱は増強する。つまり、現在の認知症ケアの場合、パーソン・センタード・ケアの理念を踏まえた実践ができていない支援者のかかわりによって、認知症者の危機はうまく回避できていないのではないだろうかと考えた。そして、支援者もまた、パーソン・センタード・ケアの理念が具体的に示されていないことによって、どのように実践したらよいのか混乱しているのではないかと想像したことが研究の出発点となっている。 そこで本研究では、パーソン・センタード・ケアを実践していると考えられる支援者をエキスパートと呼称し、研究協力者のエキスパートの実践とそのときの思考を分析するボトムアップの方法を用いて認知症者の危機を可視化することで、支援者だれもが認知症者の感じている危機を理解し、適切な対応方法の選択ができるよう提示した。 |
備考 |
目次
- はじめに
- 第 1 章 研究の背景と問題提起
- 1 .認知症ケアの歴史と BPSD
- 2 .BPSD の成立機序と危機理論および危機回避の考え方
- 3 .認知症者に対応する支援者の現状
- 第 2 章 先行文献検討と本論文の構成
- 1 .我が国で作成されたメソッド
- 2 .認知症ケア先進国で作成されたメソッド
- 3 .本論文の構成
- 第 3 章 認知症者とかかわる支援者の実践に関する研究
- 1.研究協力者の選定
- 2.先行文献を参考にした研究協力者の条件
- 3.研究:認知症者とエキスパートの対応場面の分析
- 第 4 章 認知症者とかかわる際のエキスパートに共通した特徴
- 1.認知症者と支援者のフェルト・センスの共感的理解
- 2.危機の状況にある認知症者とかかわる際のゴール設定
- 3.認知症者にとって意味ある支援者になるために
- 第 5 章 パーソン・センタードな実践をするための方法
- 1.認知症者の危機を捉えるための方法の一案
- 2.認知症者の危機の可視化を試みて
- 3.支援者のモチベーション向上に関する考察および本研究の限界と課題
- おわりに
- 巻末資料 認知症者とエキスパートの対応場面の分析 プロセスレコード