災害時の介護

災害時の介護

4月の熊本地震で多くの介護・福祉施設が被災され、その影響から今でも平時とは違う困難な現場の対応が求められていることでしょう。また、地震の巣と呼ばれる地勢の上に位置する日本は、歴史的にも大きな地震にたびたび襲われてきました。そして、これからも、いつ、どの地域に大地震が起きても不思議ではありません。したがって、避難が難しい高齢者や障害者などが暮らす介護・福祉施設においては、例外なく災害時の対応の準備が必要となります。
   そこで、2014年に発行いたしました『災害時の介護』を、編者である静岡県立大学短期大学部の鈴木俊文先生、立花明彦先生をはじめ、本書の執筆者・関係者のご厚意により、熊本地震で被災された介護・福祉現場の一助となるよう、また、全国の介護・福祉施設における地震災害時の行動計画作成の参考として、本書第1部をPDFデータにて期間限定で無料にて公開いたします。ぜひ、ご活用ください。

■本書の概要

本書は、筆者らがこれまでに大地震で被災した高齢者・障害者施設の災害時における介護内容の実態に焦点を当て研究を進めてきた成果の一部です。
   「災害」はどれひとつ同じ「かたち」を示しません。状況が刻々と変わりゆくなか、介護施設で行われる介護内容は、まさに暗闇のなかを手探りで歩み続ける姿といえます。この先に何があるのか見通しの立たない状況で、何を材料に判断をするべきか、災害対応者に委ねられた舵は、振り返る暇はなく歩みを止めることもできない切迫した状況を突きつけます。これは、私たちの想像をはるかに超える厳しい状況といえます。
   このような被災経験を一つの「災害過程」として捉え、事例を基に災害の実際と必要な介護等を学習できるテキストが存在すれば、ここから導きだされる課題は、「普遍的なマニュアル」を超えた実体的な活動内容を得られる財産になるものと考えます。本書はこのような問題意識と期待を出発点にしてまとめたものです。
   具体的には過去7年間に発生した災害のなかから地震に焦点を当て、①「知る(第1章)」②「学ぶ(第2章)」③「備える(第3章)」の3つの章から構成され、これらは、①近年の災害と要援護者の実態を把握する、②被災時に施設が巻き込まれる変化とは何かを学ぶ、③個別の「災害過程」をケースメソッドに、被害状況の想定と、そこから導きだされる課題をアセスメントするとともに、施設の機能と備えるべき介護内容を明らかにすることをねらいとしています。なお、ケースメソッドでは、2007年(平成19)年の新潟中越沖地震の事例を取り上げています。

本書は平成21~23年度の科学研究費補助金による研究成果(課題番号21530641:高齢者等災害弱者への災害時における介護保障に関する調査・研究 、ならびに平成24年度から開始した科学研究費補助金による研究活動(課題番号24530776:介護施設における「災害過程」対応教材・研修プログラムの開発)の成果の一部です。

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公開期間 2016年6月~12月(予定)


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